深夜2時。
小さな子供がベッドで何回も寝返りをうっていた。険しい顔をして何回も何回も親の名を呼ぶ。
声を聞きつけて傍らでそっと起こしてくれる人は、来ない。
「おかあさん!おとうさん!!」
思わず子供は叫ぶ。同時にがばっと勢い良く飛び起きた。
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・・
真っ暗な空間に子供の荒い息音が静かに響く。
赤のかかった黒髪は汗で塗れて額にべっとりとついている。頬には汗と涙が静かにつたう。
コンコンコン
誰かがドアをノックした。カチャっと音がしてぎぃ~と音を立てながらドアが開く。
「アキラ、起きてたのか。」
「おじさん・・・。」
赤星 輝。親は軍人の赤星 隆弘と医者の赤星 美恵子。二人とも大戦争にかりだされ、赤星 隆弘の弟赤星 和明が彼の面倒を見ている。おじさんと呼ばれた赤星 和明は困った、そして活気のない顔で言った。
「うなされてたのか?」
「え?あ、どうして?・・・・・・もしかして聞いてた?」
「聞いてなくても顔を見ればすぐわかるさ。」
「あ、う、うん。そう・・だよね。うん。」
輝はがっくりうなだれた。深くため息を吐く。和明が手をそっと優しく、しかし重く輝の肩においた。
「アキラは勘がいいからな。もう察しているようだし、どうせわかる事だからはっきり言ぞ。」和明がゆっくり口を開き、そして間を取った。
「お前の両親がたった今戦争で死んだ。」
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File:1
ウイルスと銃2
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ガチャガチャガチャ
防弾用の盾が重なり合って音を鳴らす。じりじりと特殊部隊が隙なくミズキというウィルス密造者と蘇芳の周りに壁を作る。
カチッ、カチッ、カチッ、カチッ
抵抗したときに犯罪者を止めれるように、次々へと銃の安全装置を外し構える音が聞こえる。もう犯罪者には逃げ場はない。そのまま連行されるか抵抗し撃たれるかだ。勿論犯罪者は撃たれることは望まない。よほど追い詰められたか馬鹿じゃない限り・・・・。
『どうした?どうして動かない?』 蘇芳はミズキを見ながら考えていた。ミズキは膝をついたままだらりと首をさげていた。逃げ場がなく途方にくれてるのか、それとも刑務所に入れられるのが怖くて怯えているのか。どっちにも考えれるが蘇芳には何か他の事を考えているように思えた。
なにか、なにか考えてる。抵抗か?脱走か?
「どうした?立て!早く来い。」周りにいた刑事の一人が近寄ってきた。
『バカッ!今近くによるなっつーの!!』
「ま・・・・」
待て、そう言おうとした途中にミズキは物凄い勢いで立ち上がり、手に持っていた何か―――蘇芳には赤い液体が入ったビンに見えた―――を地面に投げつけた。
「ちくしょう!!」蘇芳は悪態をつく。
「うわぁぁっ」
誰かが叫んだ。ビンが地面に当たって砕けた瞬間、中の液体が蒸発して猛毒のガスになったのだ。辺りは真っ赤な悪魔の霧に囲まれた。
しまった!! 蘇芳は両腕で口と鼻を覆い、ミズキを追った。ミズキは先にある非常用の出口に向かって必死に走っていた。
くそっ、まずい!間に合わない!逃がしてしまう――――
ごすっ
誰かが暗闇からミズキの頭を刀の柄で後ろ首を殴った。鈍い音がしてどさっとミズキが倒れる。みると失神している。
「・・・危ないところだったな。」
暗闇から青年が出てきた。背はすらりと高く、細身だが筋肉質。整った顔に青がかかった深い灰色の瞳を持った切れ目。そしてちょっと灰色がかかった薄めの茶髪をしている。すましたその顔立ちは美形といって良かった。
「どうも戒。こんなに粘った奴は久し振りだ。」蘇芳は皮肉をこめて言った。
「次は捕まえろよ。」戒と呼ばれた青年は皮肉を返した。
「おい、お前いつもはこんなことないってわかってんだろが。」
「まぁ、そうだな。次は頑張るんだな。」戒は苦笑して警察を呼んだ。