者は詠う、この世は未知の知恵で溢れ出していると

人は歌う、善は悪に勝つと

愛人は謡う、この世は変わり続けると

私は唄う、我歩むのを止めんと
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第一話 アグリスク



いつも空を見上げると私は夢を見る。空を飛ぶ夢を----

目を閉じて腕を広げ、この身体を風に任せ空虚へと飛ぶのだ--
私は見てみたい、この世の広さを

私は行ってみたい、この世の果てを

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すぅっ、と寝息をたて、アリヤはベッドに横たわったままゆっくりと目を開けた。焦点も留まらず、そのままずっと目を開けたままで何かを無関心に見詰める。そこにあるのはいつもと何の代わりも無い自分の部屋だった。時は朝6時半。いつもこの時間にアリヤは夢から覚め、そして一日が始まる。

アリヤのフルネームはアリアーヌ=スコールという。亜人族の腕の良い魔法薬師で、魔法使いでもある。亜人族はアグリスク大陸の中心部辺りにある国ノブレードのすぐ隣に村や町を造り住んでいた。ノブレードの他にアグリスク全体に色々な種族の亜人が住んでいるが、ノブレードからあまりにも離れているため、アリヤは会った事が無い。



アリヤが生きる世界で生きるもの全てが住んでいる惑星、それが「地球」。その周りには二つの月、ユリールとウェールが一ヶ月に渡り地球を一周する。地球の表面は水と岩に覆われていて、生きるものは大きな水溜りを海と呼び、乾いた大きな岩板を大陸と呼んだ。地球には3つの大陸が存在する。アグリスク、エクシエイル、そしてトーバーレーイズだ。アリヤが住んでいる大陸アグリスクは3つの中でも最大の面積を誇る。大きな土地は沢山の命をはぐくみ、沢山の生き物や種族を生み出した。

アグリスクには大きく分けて七つの種族が住んでいる。人間、亜人、エルフ、キメラ、小人族、、精霊族、そして魔族である。その中で一番の人口を占めるのが人間、その次が亜人である。

亜人と人間の違いは二つある。一つ目は耳の形が違う。エルフや精霊族ほど尖ってはいないが、人間の耳と違い耳の右上の部分がはっきりと尖っている。見分けるのはとても簡単だ。二つ目はその種族が持つ能力。人間と違い亜人は精神力が高い。よって彼らは彼らの身に起こっている事をより簡単に察知できるし、呪文や練成が人間より簡単に出来る。

亜人の次にエルフとキメラ族がアグリスクの人口を占める。エルフは精霊族以外古代からの種族で他のどんな種族よりも古く、賢く、そして色々な能力に溢れている。耳は尖ってて長く、寿命も人間と比べ物にならないくらい長い。彼らは大地から生まれ、大地とともに生き、大地とともにその力を増すという。

キメラ族は別名合成人間とも呼ばれており、人間と主に動物が錬金術と魔術を混ぜた魔錬金術によって合成され生まれた。そのルーツは遥か東にある大陸、トーバーレーイズから来ていると古い伝承に伝わっている。能力は様々で、たとえば猫が入った猫族は猫のようなしなやかな体と反射神経をもっており、夜目が利く。花が入った華族は人間の様に生きるために食べ物を食べる事は無く、代わりに日光と炭化酸素体に取り込むことによって体に使う養分を造り、そして酸素を吐く。

エルフ、キメラの次に小人族が人口を占める。小人族は色々な種族に分かれているが、どれも人間よりずっと背が低く、ほとんどが人間の腰辺りまでか、胸の辺りまでの高さしか成長しない。しかし背が低いからと小人族を見下してはいけない。彼ら、特にドワーフ族はエルフと負けないくらい文明が発達しており、どんな戦士たちよりも勇気があり雄雄しい。

小人族の次は精霊族である。彼らはとても珍しく、他の種族よりもずっとずっと古い。彼らは地球の最初の住人であり、その他の種族の母なのだ。彼らは未知の力に満ちており、常に人目を避け、深い森や海、湖の中に住む。性格は文句なしに気まぐれで、とても短気である。それなのにマイペースで他人のために急ぐ事はほとんど無い。

勿論アグリスクには人の形をした種族の他にも沢山の生き物が住んでいる。動物、古代から生きる生き物、そして生活を脅かす魔物------

 

アリヤはぼぇ~とベッドに座り、天井を見つめていた。彼女は寝起きがかなり悪い。いつも起きると頭が回転を始めるまでずっとこの状態である。たまにはこのまま二度寝してしまうことだってある。機械でいえば暖機中みたいなものだ。頭の歯車がゆっくり動き出し、アリヤの脳に色々な考えや、記憶、気分、想像等が映し出される。

『今日することは、まず手と顔を洗って歯を磨いて、うがいして、服を着替えて、身だしなみを整える事。そして朝食を作って、それを食べて、また歯を磨いて---ん、待てよ、朝二度歯を磨くのは変じゃない?ま、いいか。外の花壇で薬草に水をやって、あ、先にお皿洗いした方が良いか。んで、買い物して、洗濯して、薬草煎じて、それ潰して、煮るか、乾かしたりして------おし、上出来。今日も予定が出来ました、かな?』